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動物リハビリテーションについて

動物のリハビリ治療は
いつごろから行われているのですか?

動物のリハビリ治療はいつごろから行われているのですか?のイメージ

日本で動物理学療法が知られるようになったのは2008年頃と、まだ最近のことです。
先進国といわれるアメリカでさえ、まだ20数年の歴史です。
動物理学療法の考えが入ってくる以前は、日本の大学病院でさえ動物の手術をしたらそのまま自宅に帰すのが一般的でした。
今でも、動物理学療法を専門的に行う病院は数少なく、また、それを専門的に学んで人材を育成する機関も少ないのが現状です。

動物のリハビリ治療は必要ですか?

動物のリハビリ治療は必要ですか?のイメージ

動物がケガをしたり、手術を受けたり、変性性疾患にかかった場合には、体のシステムが影響を受け、筋肉が弱り手足の機能が途端に落ちてしまいます。そうなると痛みと共に、傷めた足を使わない、動きが低下する、硬直する、炎症を起こすといった症状が引き起こされ、ますます動かなくなってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

動物にとって歩けない・動けないということは、とても大変な事態です。それを防止するのが、動物リハビリテーションの役目です。

ただそれには、専門的に勉強した獣医師や理学療法士が必ず必要であり、その指導の下に的確にリハビリが行われることが重要となってきます。

動物のリハビリ治療のいいところは
どんなところですか?

まず大きな利点は、ケガや術後の回復を早めるという点です。
以前は、手術の後に長く休養したり患部を固定したりしていましたが、筋力が衰えて回復を遅らせるというデメリットがありました。早くにリハビリを始めることで、

  • 回復を早める
  • 疼痛を緩和
  • 合併症を最小限に抑える
  • 筋肉力と持久力を向上させる
  • 健康回復
  • ペットと飼い主にプラスの精神効果を
    与える
  • 運動能力と運動の質を改善する

といったメリットがあります。
そして、それらはペットのQOL(quality of life)=「生活の質」の向上へとつながっていきます。

動物リハビリはいつから始めたらいいですか?

動物リハビリはいつから始めたらいいですか?のイメージ

ケガの治療や手術の後、できるだけすぐにリハビリを開始します。といっても、ハードな運動ではなく、ケガや術後の痛みを緩和するためのホットパックやアイシングです。

術後の体は外部からの刺激で腫れていますが、そのうちに外部の刺激から体を守ろうと筋肉が硬くなってしまいます。それを防いで痛みを緩和するのが、早めにリハビリを取り入れる目的です。

たとえば犬が何らかの理由で歩けなくなった場合、自分の力で立つまでには、歩けなかった期間の3倍から5倍の時間がかかるといわれます。
3週間歩けなかったら9週間から15週間ということになります。だからこそ、できるだけ早くリハビリをはじめ、早い回復を目指すことが重要になります。

また、痛みを緩和することで獣医師や看護師への警戒心をとき、あとあとのスムーズなリハビリへとつなげていくこともできます。

どんな病気がリハビリ対象になりますか?

手術、特に筋肉、骨、神経の手術を受けた後には、早めのリハビリが必要です。

理学療法を必要とする一般的疾患例
整形外科疾患
  • 十字靭帯損傷やその術後
  • 膝蓋骨脱臼の術後
  • 大腿骨頭
  • 頚切除術
  • 股関節形成不全
    (全股関節置換術後、3点骨盤骨切除術)
  • 肩関節の手術後
  • 肘関節形成不全、肘関節の手術後
  • 交通事故の多発外傷/骨折
  • 脊椎症/脊椎の関節炎
  • 関節炎/変性性疾患
  • 筋肉の挫傷と靭帯捻挫
  • 靭帯および関節の手術
  • 整形外科的矯正手術
  • 運動性の低下
  • 関節拘縮と変形          etc
神経系疾患
  • 脊椎の手術
  • 椎間板疾患(手術適応外のもの)
  • 脊椎の外傷(転落など)
  • 脊椎線維症/脊椎梗塞
  • ウォブラー症候群(頸椎奇形)
  • 神経麻痺や損傷
  • 変形性脊椎障害(ミエロパシー)
  • 多発性神経根神経炎(ターンハウンド麻痺)
  • 変性性脊髄症(DM)
  • 黒尾症候群            etc

術後だけではなく、私たちは、普通の生活ができなければリハビリ対象だと考えています。
理学療法は、動物の行動を元に戻すのが目的なので、関節炎になって正しく歩けなくなった犬を正しい歩き方に戻すのも、太り過ぎてダイエットが必要になった犬を正常な体重に戻すのも、リハビリ対象ということになります。
「ダイエット?」と思われる人も多いでしょうが、肥満は万病のもとであることは人も動物も同じで、明らかにリハビリ対象といえます。
また、それまで家族として一緒に過ごしてきた犬もやがては老齢犬となり、それまでの活発な活動を維持できなくなります。そんなときには、定期的にリハビリを行うことで自分の足でトイレに行き、それまでの生活を維持することもできます。
犬にとってはもちろんですが、介護する家族にとっても大切なことです。

医療費は高いですか?

医療費は高いですか?のイメージ

動物医療は保険適用外のことが多く、どうしても費用が気になります。また、リハビリは長期医療になる場合が多く、家族の精神的・体力的な負担とともに費用の負担も期間が長びくほど大きくなってきます。 

そこで当院では、初診のときに1カ月の治療の予算もお聞きしています。その予算に合ったリハビリメニューを作ることで、長期治療でも安心して治療を行えるようにしています。
治療は必ず飼い主さまの了解を得て行い、無断で進めることはありません。治療の説明の際に、金額のこともお気軽にお聞きください。

動物リハビリにはどんな種類がありますか?

リハビリには多くの種類があり、いくつかの種類を組み合せて行います。
一頭一頭の状態をしっかりと把握し、適したリハビリや負荷を選択することが重要です。

徒手療法
徒手療法のイメージ

道具や機械を使わずに、手でやさしく動物の体に触れ、機能の回復を早めるとともに、痛みを緩和させます。
体に直接触れることで動物に安心感を持たせるとともに、徒手を行っている立場にとっても体の変化に気づきやすくなり、病気の早期発見にもつながります。
ご家庭にはリハビリ用の器具がない場合が多いので、家庭でリハビリを行うときには徒手療法が主流となります。

  • マッサージ
  • 関節運動
  • ストレッチ など
運動療法
運動療法のイメージ

体に物理的なエネルギー、たとえば温熱や寒冷や電気エネルギーなどを加えることで、筋肉の緊張の緩和、血液循環の改善、痛みの緩和などを行う療法です。
ホットパックなどは獣医師の指導の下に家でもできますが、レーザーなど専門的な機器を必要とする療法は主に病院で行います。

  • 水中歩行
  • バランスボール など
物理療法
物理療法のイメージ

体に物理的なエネルギー、たとえば温熱や寒冷や電気エネルギーなどを加えることで、筋肉の緊張の緩和、血液循環の改善、痛みの緩和などを行う療法です。
ホットパックなどは獣医師の指導の下に家でもできますが、レーザーなど専門的な機器を必要とする療法は主に病院で行います。

  • ホットパックやアイスシング
  • レーザー
  • 針治療